ソニー Cyber-shot RX10 V レビュー|野鳥撮影入門におすすめな高倍率ズームカメラ

山田芳文
ソニー Cyber-shot RX10 V レビュー|野鳥撮影入門におすすめな高倍率ズームカメラ

はじめに

2017年10月に発売された前モデルのソニー RX10 IVから9年近くの時を経て、後継のRX10 Vがデビューしました。
今回はこちらのRX10 Vで撮影した野鳥作品を通じて、このカメラについて語っていきたいと思います。

バッテリーは高容量のNP-FZ100を採用

αシリーズでおなじみのバッテリー「NP-FZ100」がRXシリーズでは初めて採用されました。
ソニー公式の発表によると、前モデルのRX10 IVのバッテリーから50%以上スタミナが向上し、液晶モニター使用時に最大で約630枚、ビューファインダー使用時は約570枚静止画が撮影可能とのことです。
フル充電したNP-FZ100であれば、長時間の動画撮影や特殊な撮影をしない限り、予備バッテリーなしで、丸一日撮影を楽しめます。

グリップが握りやすくなり、シャッターボタンが押しやすくなった

前モデルのRX10 IVからグリップの形状が大きく変わって、非常に握りやすくなりました。また、シャッターボタンの位置や角度も変わって押しやすくなり、快適に撮影することができます。
撮る道具としてストレスフリーで撮影できるかどうかは、明確に数値化されて表に出てきませんが、僕がいちばん大切にしているところなので、非常に嬉しい進化と言えます。

αシリーズに近しいメニューシステム

背面のメニューが前モデルのRX10 IVから大きく変わって、現行のαシリーズに近いものとなりました。ですので、日頃フルサイズのαを常用している僕にとって、非常に使いやすく、すぐに手に馴染みます。
αを使う感覚で撮影できますので、αユーザーの人にはサブ機としてRX10 Vを使ってみることをおすすめしたいです。

高倍率ズームを活かした幅広い表現

レンズ交換式カメラであれば大口径のレンズが何本か必要なところを、RX10 V1は一台で、35mm判換算約24mm~600mmの広角から超望遠までの画角をF2.4~4.0の明るさで幅広く対応することができます。
ズームレンジを超望遠側にしてシンプルに寄りで野鳥を切りとるのはもちろん、広角側や標準域、ちょっと望遠にすることで、鳥がいる風景として撮影することもできます。

まずはこちらの2枚をご覧ください。
撮影距離を同じにするために、カメラを三脚に固定して、いちばん広角側と望遠側で撮り分けたアオサギです。
35mm判換算で24mmと600mmなので、見た瞬間に画角の違いがはっきりとわかります。

※広角側のアオサギは白い丸印のところにいます。

▼アオサギの広角側

■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:9.1mm(換算24mm) F8 1/1000秒 ISO200

▼アオサギの望遠側

■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:210mm(換算600mm) F8 1/500秒 ISO160

次の2枚は、親から独立して間もないバンの幼鳥です。
上のカットは「すでに足が黄色くなっていますよ」(バンは生後3週間弱ぐらいまでは足が黒い)を伝えるために、歩いているところを210mm(換算600mm)にして、足の色がわかるように寄りで切りとりました。
下のカットはバンだけでなく、生息環境もわかるように、11.8mm(換算32mm)にして、風景も含めてまるごと受け止めました。

▼バンの望遠側

■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:210mm(換算600mm) F5.6 1/500秒 ISO320

▼バンの広角側

■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:11.8mm(換算32mm) F5.6 1/250秒 ISO640

次にツバメの幼鳥の2枚です。
長い時間飛び続けることが多いツバメの成鳥と違って、幼鳥は一定の時間飛び続けると、その後、お気に入りの止まり場にとまって、小休止することが多いです。そのシーンを撮影した2枚ですが、上のカットは210mm(換算600mm)でシンプルに切りとりました。

上のカットを撮影後に画像をチェックすると、曇天のライティングと単調な背景のため、フラットでメリハリのない写真になったと反省、ズーム域を107mm(換算310mm)にして、撮り直したのが下のカットです。
対岸の緑を取り入れたことで、色彩に変化がつきました。

▼210mmのツバメ

■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:210mm(換算600mm) F5.6 1/250秒 ISO640

▼107mmのツバメ

■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:107mm(換算310mm) F5.6 1/250秒 ISO400

AIプロセッシングユニットによるリアルタイム認識AF

前モデルのRX10 IVは、AF時の顔/瞳優先を「入」にした時の検出対象は人物と動物の2択でしたが、RX10 Vになり独立したAIプロセッシングユニットを搭載。これによって人や動物はもちろん、鳥、昆虫、車・列車、飛行機といった幅広い被写体を認識し、合焦してくれます。

前モデルのRX10 IVとRX10 Vを比べると、いちばん進化したところは認識AFではないかと個人的に思っています。
普段はα1 IIとα7R VIを愛用していますが、RX10 Vの認識AFはこれら2機種と同じ感覚で使えるところが有り難いです。

下の2枚はRX10 IV(上)とRX10 V(下)の被写体検出のメニュー画面です。

▼RX10 IV

▼RX10 V

次の3点は全て認識AFを「入」にして、認識対象を「鳥」に、認識部位を「瞳」に設定して撮影したものです。

なぜか7月に大阪に舞い降りたタンチョウ。首が長い鳥は認識が難しいと言われているが、何の問題もなく瞳を認識、合焦してくれた。
■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:172.2mm(換算492mm) F4 1/1000秒 ISO200
バンの幼鳥が水草を食べているところ。このようなシーンでは一時的に瞳をロストするカメラが多いと聞くが、RX10 Vでは一時的なロストもなく認識、合焦し続けてくれた。
■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:175.1mm(換算500mm) F4 1/1600秒 ISO800
ごちゃごちゃしたところにいたヨシゴイ。カメラ位置から見ると、ヨシゴイの胴体を遮るように2本、蓮の茎があるが、何の問題もなく認識、合焦してくれた。
■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:210mm(換算600mm) F4 1/250秒 ISO 800

まとめ

RX10 VはバッテリーがNP-FZ100になって、長時間たくさん撮影できるようになり、グリップも握りやすくなったので、撮る道具として成熟しました。また、メニューシステムが現行のαと近しいので、αユーザーの人にはサブ機としてお勧めできます。そして、35mm判換算で広角の24mm相当~超望遠の600mm相当までの画角をレンズ交換せずに楽しめます。

野鳥のいろいろな絵面をこれ1台で手軽に描けるRX10 Vは、これから野鳥を撮ってみようと思っている人にいちばんお勧めしたいカメラなのです。

 

 

■写真家:山田芳文
「100種類の鳥よりも1種類を100回」をモットーに野鳥を撮り続ける。ライフワークは鳥がいる風景写真。主な著書は『SONY α7 IV 完全活用マニュアル』(技術評論社)、『SONY α6600 基本&応用撮影ガイド』(技術評論社)、『写真は構図でよくなる!すぐに上達する厳選のテクニック23』(エムディエヌコーポレーション)、『やまがら ちょこちょこ』(文一総合出版)など。最新刊は『SONY α7C II 完全撮影マニュアル』(技術評論社)。

 

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